紅茶を飲まれる方は「セイロンティー」という名前を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
しかし、セイロンティーが栽培地域の標高により異なる種類に分類されるということを知っている人はそれほど多くないかもしれません。
この記事では、セイロンティーの栽培地域の標高による違いと、それぞれの標高別のおすすめセイロンティーをご紹介します。
スリランカ産紅茶、セイロンティーの代表5種類
スリランカといえば、「セイロン」という旧国名も知られていますが、この国名から名付けられた「セイロンティー」はどのような紅茶でしょうか?
スリランカは、世界有数の紅茶生産国であり、日本の東北地方よりも少し小さい面積の島国ですが、その紅茶は世界中で愛されています。セイロンティーは特にその飲みやすさとクセが少ないことで評価されています。
スリランカには「ヌワラエリア」「ウバ」「ディンブラ」「キャンディ」「ルフナ」といった主要な紅茶生産地があり、それぞれの地名がついた紅茶も人気があります。
スリランカのセイロン紅茶:標高別の特徴
セイロンティーの味と香りは、栽培される地域の標高によって大きく異なります。
ここでは、標高に応じて分類されるセイロンティーを3つのグループに分けて解説します。
ハイグロウンティー(高標高地域産)
標高約1,300メートル(約4,000フィート)以上の高地で生産される紅茶で、セイロン紅茶の中で最も高級品とされます。このグループの紅茶は、繊細な風味、爽やかな渋み、そして明るい水色が特徴です。主な産地にウバ、ヌワラエリア、ディンブラがあります。
ミディアムグロウンティー(中標高地域産)
標高670メートルから1,300メートル(2,000~4,000フィート)の地域で生産される紅茶です。この範囲の紅茶は、渋みが少なめで、味わいは力強く、コクが感じられます。香りが豊かで、様々なブレンドの基底としても優れています。キャンディ地区が有名です。
ローグロウンティー(低標高地域産)
標高670メートル(2,000フィート)以下の地域で生産される紅茶です。通常、香りは軽いものの、水色は濃いという特徴があります。主な産地にルフナがあります。
この標高別グループに基づいて、それぞれの地域で栽培される代表的なセイロンティーの5種類を、さらに詳しく解説します。
高標高地帯のセイロンティー3選
標高1200メートル以上の高地で栽培される「ハイグロウンティー」について、ご紹介します。
この高標高地帯では、昼夜の温度差が大きいため、香り豊かな紅茶が育つ特徴があります。このため、日本に輸入されるセイロンティーの多くがここから来ています。
まずは、この地域で生産される以下の3種類の代表的な紅茶をご紹介します。
・ウバ
・ディンブラ
・ヌワラエリア
これらの紅茶は、それぞれ独特の風味と香りが特徴です。
ウバ:世界三大紅茶の一つであり、そのユニークな味わい
「ウバ」はセイロンティーの中でも特に評価が高く、世界三大紅茶にも名を連ねています。この紅茶の最大の特徴は、メントールを思わせる清涼感のある香りです。また、その爽快な渋みと豊かなコクが楽しめます。その水色は、鮮やかな真紅で視覚的にも美しいです。
飲み方としては、紅茶の風味を直接感じられるストレートがおすすめですが、ミルクを加えたミルクティーとしても楽しむことができます。
特に6月から9月の間に収穫されるウバ紅茶は、「ウバフレーバー」と称される特有の香りが際立ちます。
この紅茶は、チョコレートやかぼちゃなどの濃厚なスイーツとの相性が抜群です。
ディンブラ:万能で親しまれるセイロンティー
「ディンブラ」は、スリランカで最も栽培面積が広いセイロンティーです。そのクリアな渋みと洗練された香りが特徴で、どんな飲み方にも適しています。
ストレート、レモンティー、ミルクティーなど、お好みに応じて様々な楽しみ方が可能です。ディンブラは、その柔軟性から日本で販売されているティーバッグやペットボトルの紅茶にもよく使われ、多くの人にとって馴染み深い「紅茶」として親しまれています。
ハイグロウンティーであるディンブラは、クセが少なく、ストレートはもちろん、濃いめにしてミルクティーとしても楽しめるほか、アイスティーとしても抜群の味わいを提供します。その多様な使い方で、どんなティータイムにもぴったりの紅茶です。
ヌワラエリア:緑茶を思い出させる紅茶の風味
ヌワラエリア産の紅茶は、その柔らかなコクと爽やかな渋みで知られています。ヌワラエリアは淡いオレンジ色をした水色と、緑茶を思わせる独特の香りが特徴で、ストレートティーで飲むとその風味が最も引き立ちます。
かつてイギリス人の避暑地として栄え、「リトルイングランド」とも呼ばれたこの美しい地域は、スリランカ内でも特に標高が高い場所に位置しています。ここでは緑がかった茶葉が採れ、茶殻も緑茶に似た色をしています。毎年1月から2月の間には、特に上質な紅茶が収穫されることで有名です。
中標高地帯のセイロンティー:キャンディ紅茶
標高600~1300メートルの間で生産されるセイロンティーは「ミディアムグロウンティー」と呼ばれます。ミディアムグロウンティーの主な産地は、スリランカの歴史ある「キャンディ地区」です。
キャンディで採れる紅茶は、独自の風味があり、ブレンドティーに使用されることが多いため、非常に重宝されています。また、キャンディはその壮大な景観で世界遺産にも指定されており、観光地としても非常に人気があります。
低標高地帯のセイロンティー:ルフナ紅茶
標高600メートル以下の低地で栽培される紅茶は、「ローグロウンティー」と呼ばれています。ローグロウンティーでで特に注目されているのが「ルフナ」という紅茶です。
ルフナはスリランカ語で「南」という意味を持ち、その名前が示すように、スリランカの南部地域で栽培されています。
濃い赤褐色の水色と甘みが際立つ紅茶で、特に中東で人気が高く、その濃厚なコクと軽い渋みが楽しめます。ミルクを加えることで、さらに甘い香りが強調され、異なる味わいを楽しむことができます。
ルフナはスリランカで最も低い標高の地域で栽培されており、気温が高いため茶葉が大きく育ちます。この条件が発酵時に独特のスモーキーな香りを生み出し、はちみつを焦がしたような風味をもたらします。見た目の色の濃さとは異なり、味は比較的軽やかで、中程度の渋みがあり飲みやすいです。
セイロンティーのおすすめ飲み方:5種類の楽しみ方
セイロンティーには様々な楽しむ方法がありますが、今回は5種類の紅茶に最適な飲み方をご紹介します。
- ストレートティー向き:ディンブラ ヌワラエリア
- ディンブラとヌワラエリアは、クセが少なく適度な渋みが特徴です。これらの紅茶はストレートで飲むことで、その本来の風味を最も楽しむことができます。
- レモンティー向き:キャンディ
- ミディアムグロウンのキャンディは、清潔感のある水色が特徴で、レモンの酸味と非常によく合います。アイスティーとしてレモンスライスを加えると、さらに爽やかに楽しめます。
- ミルクティー向き:ウバ ルフナ
- ウバはその濃厚なコクと紅茶らしい爽やかな香りで、ミルクティーに最適です。また、ルフナの濃い水色もミルクとの相性が抜群で、クリーミーなミルクティーが楽しめます。
これらの紅茶の特徴を生かした飲み方で、セイロンティーの魅力を存分に引き出してみてください。
標高別おすすめセイロンティー5選:まとめ
この記事では、セイロンティーの栽培地域の標高による違いと、それぞれの標高別のおすすめセイロンティー5選をご紹介しました。
ご紹介したセイロンティーは日本でも人気の高い紅茶なので手に入りやすいです。
個性豊かなこれらのスリランカ産セイロンティーを、ぜひ一度お試しいただきたいです。