紅茶の豊富な種類は、コーヒーよりも専門的で扱いにくいと感じられることがあり、紅茶は「種類が多くて選び方がわからない」という声をよく耳にします。
例えば、アールグレイがフレーバーを加えた紅茶であることを知らない人も意外と多いのです。
この記事では、紅茶の基礎知識がない方でもわかるように、紅茶の主な種類とその名称について詳しく解説します。
紅茶の分類基準の3つのポイント
紅茶を分類する際の基準は主に次の3点です。
- 茶葉に後から香りが付けられているか
- 茶葉がどの地域で、いつ収穫されたか
- 茶葉のサイズはどの程度か
これらを踏まえ、さまざまな紅茶の特徴をご紹介していきます。
1.紅茶の茶葉に後から香りが付けられているか
紅茶の香りが自然由来なのか、あとから加えられたものなのかは、多くの人が疑問に思うところです。
香り付けされた紅茶は、大別して以下の三種類に分けられます。
- フレーバードティー:
茶葉に直接香料やエッセンシャルオイルを加えて香りをつける方法です。 - ブレンデッドティー:
茶葉に花びらやドライフルーツなど、香り豊かな材料を混ぜ合わせたものです。はちみつ紅茶がこのカテゴリーに含まれます。 - センテッドティー:
香りの素材のそばに茶葉を置いて自然に香りを吸わせる方法で、ジャスミンティーがこの方法で作られます。
これらの種類は広義で「フレーバードティー」と総称されることがありますが、基本的にはこれらの区分を理解しておけば問題ありません。
さらに、何も加工されず自然の状態で楽しむ紅茶は、「ノンフレーバードティー」または「アンフレーバードティー」と呼ばれています。
アールグレイの香りの謎:本来は無香?
アールグレイはフレーバードティーの中でも特に知名度が高く、紅茶に詳しくない方々の中には、その独特な香りを一般的な紅茶の香りと勘違いしている人もいます。
実際には、アールグレイはベルガモットのエッセンシャルオイルや香料を加えて香り付けされており、主にキームンやスリランカ産の茶葉が使用されています。
アップルティーの香りの謎
また、アップルティーも人気のフレーバードティーです。このティーには「アップル」という名前がついていますが、実際にリンゴが含まれているわけではなく、主にリンゴの香りを加えた紅茶となっています。
しかし、時折、乾燥したリンゴを混ぜることもあります。
この場合、紅茶はフレーバードティーとしてだけでなく、ブレンデッドティーとしても分類されることがあります。
2.茶葉がどの地域で、いつ収穫されたか
次は、「茶葉の産地と収穫された時期」に関する話題です。
紅茶の名前が示す産地:ダージリンからアッサムまで
例として挙げるキームン、スリランカ(旧称セイロン)、ダージリン、アッサム、ニルギリなど、これらの名前はそれぞれ茶葉の産地を指しています。スリランカは国名、キームンは中国の地名、ダージリン、アッサム、ニルギリはインドの地名です。
ただ産地を示すだけでなく、収穫された時期によって名前が変わることもあります。たとえば、「ダージリンセカンドフラッシュ」は夏に収穫されたダージリン茶を指し、収穫時期によってその名前が定められています。
茶葉が収穫された時期まで名前になる理由は、その時期に収穫した茶葉が独自の香りや風味を持ち、とても良質だからです。
この期間は茶葉の「旬」とも言え、これをクオリティシーズンと呼びます。このシーズンに収穫された茶葉は品質が高いとされ、そのために「クオリティ」という言葉が名前に含まれることがあります。たとえば、「クオリティダージリン」や「アッサムクオリティ」といった表現が用いられます。
また、産地によっては年に複数回のクオリティシーズンがあり、それぞれの時期によって茶葉の香りや風味が異なります。
例えばダージリンでは、春、夏、秋の三回のクオリティシーズンがあり、それぞれ「ファーストフラッシュ」「セカンドフラッシュ」「オータムナル」という名称で区別されています。
3.茶葉のサイズはどの程度か
次は「茶葉の大きさ」にスポットを当てます。
オレンジペコ:名前が果物を連想させるが由来は別にあり
皆さんは「オレンジペコ」という言葉を聞いたことがありますか?
これは紅茶の茶葉の等級を指す用語で、茶葉の大きさや形状に基づいています。
茶葉は収穫後、発酵や乾燥する過程で個々の形や大きさにばらつきが出ます。そうしたばらつきを整え、味の一貫性を保つために紅茶には等級が設定されています。オレンジペコ(Orange Pekoe:OP)は、これらの等級の中でも特に大きく、形が整っている茶葉を指します。ちなみに、この名称は果物のオレンジとは関係がありません。
他にも多くの等級があります。ただ、大きい茶葉が高級品とは限らず、茶葉の大きさによって香りや味の特性が異なり、それによって使われ方も変わるため、この点を理解しておくことが大切です。
紅茶の名前の付け方とその基準
これまで述べてきた茶葉の分類基準は、紅茶の茶葉の名前に大きな影響を与えますが、その中でも優先される順序があります。
- 茶葉に後から香りが付けられているか
- 茶葉がどの地域で、いつ収穫されたか
- 茶葉のサイズはどの程度か
この3つの基準の上から順に、名前を付ける際に優先される傾向があります。
フレーバードティー
例として、アップルティーなどのフレーバードティーを見ると、通常これらの名前には産地名や等級名が含まれることは少ないです。それは、後から加えられた香りがその茶葉の主要な特徴となっているからです。
ノンフレーバードティー
一方、香りを加えない場合は、茶葉の特徴をよりはっきりと示すために産地や収穫時期が重視されます。
たとえば、オレンジペコの場合、アッサム産とスリランカ(セイロン)産では味や香りに顕著な違いがありますが、同じアッサム産でも等級の違いによる味の差はそれほど大きくありません。そのため、名前には等級よりも産地や時期が反映されることが多くなります。
逆に、名前に等級が明記されている場合は、その等級が重要な特徴や販売ポイントとされていることを意味します。
カフェでの紅茶選びに役立つ茶葉の分類と名前の意味 まとめ
紅茶を分類する際に重視される主な基準は次の三つです。
- 茶葉に人工的に香りが付けられているか
- 茶葉の産地と収穫された時期
- 茶葉の大きさ
これらの基準は、通常、1から3の優先順位で紅茶の名前に反映されます。
次回カフェで紅茶を選ぶ時や、茶葉を購入する際に、どの基準が名前に反映されているかを考えてみると、紅茶の楽しみ方がさらに深まるかもしれません。ぜひ見てみてください。