「ソーサーはどう使うのが正解なの?」「ソーサーを使うときにマナーは存在するの?」と疑問に思ったことはありませんか?
この記事では、ティーカップとセットで使用されるソーサーの正しい使い方について解説します。
ソーサーの使い方を具体的に解説しますので、ぜひこの機会に正しい使い方を学んでより楽しいティータイムをお過ごしください。
ティーカップと一緒に使う「ソーサー」の役割とは?
ソーサーとは、ティーカップの下に置かれる受け皿です。
カップと同じ素材で作られることが一般的で、素材は陶器や磁器だけでなく、木製やステンレスを使用する場合もあります。
インターネットで「ティーカップ」と検索すると、ほとんどの場合、カップとソーサーがセットで表示されますよね。
多くの有名な磁器ブランドではティーカップとソーサーがセットで販売されており、別売りすることはまれです。
ここからは、カップとソーサーがセットである背景とその使い方について詳しく解説します。
なぜカップとソーサーはセットで売られるのか?
コーヒーカップやティーカップがソーサーとセットで売られるのは一般的ですが、洋食器を売買する際にも、セットでないと価値が大きく下がることがあります。
これらはセットとしてデザインされているため、単体での価値が低くなるのは納得がいくかもしれません。
しかし、そもそもなぜカップとソーサーがセットで存在するのでしょうか。ソーサーの歴史を見ていきましょう。
ソーサーの歴史
ソーサーが現在の形になったのは20世紀に入ってからのことです。
まずは現在の形になる前の、ソーサーの歴史の初期の頃の使い方について解説していきます。
現代の私たちにとっては意外な使い方が含まれている可能性があります。
ソーサーの歴史・初期の頃の使い方
16世紀ヨーロッパで紅茶やコーヒーが広まり始めた時、使われていたのは湯飲みや茶碗型の器でした。
この時代のヨーロッパには、熱い飲み物や食べ物をそのまま飲食する文化がなく、飲み物や食べ物を別のお皿に移し替えて冷ましてから飲食する習慣がありました。
当然、紅茶も冷まして飲まれていました。その際、冷ます目的で使われたのが「ソーサー」です。
現在のソーサーは平べったいものが主なので、ちょっと想像しにくいですよね。初期のソーサーは現在のソーサーとは異なり、深さがある大きなものでしたので可能だったのです。
長い間、冷まして飲む文化が続いていましたが、貴族の間で「飲み物を別の容器に移す行為は不作法」とされるようになり、ティータイムにもより上品な振る舞いが求められました。
この変化が、熱くない取っ手付きのティーカップの誕生へと繋がり、それに伴いソーサーの形状も平らなものへと進化していったのです。
コースターとソーサーの使い分け
カップの下に敷くものとして、ソーサーとは異なる「コースター」があります。
コースターは、主に冷たい飲み物が結露してテーブルが濡れるのを防ぐために使用されるものですよね。
皆さんも、冷たいドリンクを飲んでテーブルが水滴で濡れた経験があると思います。そうした場合に便利なのがコースターです。
コースターが広まったのは戦後からで、その具体的な発祥の地は明らかではありませんが、現在では多くのブランドや店舗がマーケティングの一環として独自のデザインのコースターを製作しています。
使用される素材は紙や布、コルクなど様々です。
ソーサーを使う理由:なぜ現代でも重宝されるのか?
「ソーサーが今も使われ続けている理由って何だろう?」と疑問に思うかもしれません。実は、ソーサーには現代においても非常に便利な点がいくつか存在します。
ソーサーを使う理由①おもてなし
一つは、おもてなしの場面での使用です。
前述のとおり、ソーサーのくぼみがカップの滑り落ちを防いでくれるため、安全に熱い紅茶を楽しむことができます。熱いカップを持つ時、ソーサーがあるとカップが不安定になるのを防いでくれます。
また、正式なスタイルであるティーカップとソーサーをセットで使うほうが、相手へのおもてなし、マナーとも考えられます。
ソーサーを使う理由②合理性
ソーサーは、紅茶を飲む際に砂糖やミルクを加えるときに使うティースプーンを置くのにも最適です。
もちろん、砂糖やミルクなしで飲む方にもソーサーを使用して提供します。
ティーセットと呼ばれる5つのアイテムの一つであるソーサーは、ティータイムにおいて欠かせないものとしてその役割を果たし続けています。
現代でのソーサーの正しい使い方とマナー
ここからは、現代においてソーサーをどのように使うべきか、正しいソーサーの使い方とマナーを詳しくご説明します。
特に、招かれた席でのソーサーの使い方に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
ティーカップとソーサーで上品に飲む方法
ティーカップとソーサーを使って飲むときは、ティーカップを胸の高さからウエストまでゆっくりと引き寄せてから、一旦動作を止めて飲むことで上品な印象を与えます。
ティーカップの持ち方には小技があります。持ち手のハンドルに指を通さずに、つまむように持つことがポイントです。人差し指、中指、親指の三本でハンドルをつまみ、残りの二本の指で支えるように持つと安定します。
ソーサーを使うタイミング:いつ持つべき?
紅茶を飲むとき、ソーサーを持つべきかどうかはよくある疑問です。
状況次第ですが、基本的な答えは下記の通りです。
- ダイニングテーブルなど通常の高さのテーブルで座って飲む場合は持つ必要なし
- 立食パーティーなどでは持った方が良い
- ティーカップが置かれた位置が手元から遠い場合はソーサーを使った方が良い
通常、テーブルに座っている時はソーサーを持つ必要はありませんが、カップが手元から遠い場合は使った方が良いでしょう。
特に立食パーティーでは、立ちながら飲むときのこぼれやすさを考慮して、ソーサーの使用がおすすめです。ソファ席でローテーブルを使用する際も、テーブルが低いためソーサーを持つと安全です。
ただし、国の文化や習慣によってはテーブルから皿を持ち上げることが好ましくないとされることもあります。ですから、「ソーサーを必ず持つべし」とは限りません。
その場の状況や周囲の人々の態度を観察して、適切な判断をするようにしてください。何か気になる点があれば、その場の人に尋ねるのも良い方法です。
ティータイムのマナー:ソーサーの上手な使い方
ここからは、ソーサーを使う際のマナーについて解説します。
音を立てないようにする
ソーサーを使う際には、音に注意が必要です。
特に、ティースプーンを使用して砂糖やミルクをかき混ぜる時、スプーンをソーサーに置く時、またティーカップをソーサーに戻す時など、「カチャカチャ」と不快な音が出ないように気をつけましょう。
おもてなしする時のマナー
お客様をおもてなしするときにも注意が必要で、ティーセットの準備にもマナーが求められます。
デザインを統一する
ティーカップとソーサーのデザインは統一するようにしましょう。
似ているデザインのセットが複数ある場合は、誤って混同しないよう注意が必要です。
正面を揃える
ティーカップをソーサーに置く際には、正面が揃うように配置することが大切です。
提供する時も、ソーサーとティーカップの絵柄が相手から見て正面に来るように配慮することで、より洗練された印象を与えることができます。
カップの持ち手の位置には、相手の左側に向けるフランス式と、相手の右側に向けるアメリカ式があります。
どちらのスタイルも間違いではありませんが、ティーカップとソーサーのデザインに合わせて持ち手の向きを選ぶとより良いでしょう。
ティースプーンの置き方
提供する時、ティースプーンは通常カップの手前に置かれます。
これらの点に気を配ることで、ホストとしての印象も良くなります。
ティースプーンの使用後
砂糖やミルクを混ぜた後のティースプーンをソーサーのどこに戻すかについては、特に厳格なルールはありません。
一般的には、使用したティースプーンはカップの後ろ側、ソーサーの背面に置くのが一般的です。
ソーサーが割れた時の代替案
「ソーサーを割ってしまったが、代わりに普通のお皿を使っても問題ないだろうか?」という疑問は多くの方が持つかもしれません。
これに対する意見はさまざまですが、お皿をソーサーとして使用することに対して特に禁じられているルールはありません。
もともとソーサーにはカップの底を支えて安定させるくぼみがあり、カップの転倒を防ぐ役割を果たしています。同じデザインのソーサーを使うのが最適ですが、もし手元になければカップに合わせたデザインのお皿を選ぶことをお勧めします。
ソーサーはティーカップの美観を高め、飲み物を保温する役割も担っていますが、ソーサーなしでティーカップを使用しても大きな問題はありません。
それでも、ソーサーがあると見た目がより美しく、機能性も高まります。
ティーカップソーサーの基本知識・使い方とマナー まとめ
この記事では、ソーサーの基本知識について歴史と共に使い方やマナーを詳しく解説しました。
現代のティーカップ&ソーサーは、直接ティーカップから飲むスタイルに合わせてソーサーが浅くデザインされています。
しかし、過去のティーカップ&ソーサーは、飲み物がこぼれないようにソーサーを深く作ることが多かったという歴史があります。
アンティークのティーカップ&ソーサーをお持ちの方は、その違いを実際に比較してみると興味深いかもしれません。
時代によってソーサーの役割やデザインがどのように変わってきたのか、その違いにぜひ注目して素敵なティータイムをお過ごしください。